写真の効用について

・なぜ、人は写真を撮り、写真を見るのでしょうか?

・なぜ、東日本大震災で非常に多くの家族アルバムが回収され、喜ばれたのでしょうか?

・なぜ、これほどまでに写真がSNSをにぎわすのでしょうか?

・なぜ、写真愛好家は高齢になっても元気だと言われるのでしょうか?

 

これらの答の中に、写真の価値やその存在意義、知らず知らずのうちに私たちが写真から受けている心理的、身体的な影響の一端を見出すことができます。

 

写真セラピーがセラピーとして成立するのは、ワークショップの参加者が安心・安全な雰囲気の中で、自由な自己表現ができる場を提供し、全ての表現に共感的、関与的に寄り添う「ファシリテーターによる関わり技法」が1つの要素として挙げられます。

 

しかし、それに加えて、写真セラピーがセラピーとして成立するための、より基本的な要素を構成しているのが、写真活動そのものが人の心や体にもたらす様々な影響です。そのうち、心身によい影響をもたらす写真活動の有用性を、以下、「写真の効用」と呼び、写真セラピーではこれら写真の効用をワークショップの各プロセスで活用しながら、セラピーとしての効果を期待します。

 

しかし、写真セラピーのように訓練を受けた第3者(ファシリテーター)の援助なしにも、自分自身で楽しむ写真活動そのものにも、ある程度のセラピー効果が認められることがあります。

 

それは、「思いを語る効用」で例えるならば、私たちは誰かに自分の気持ちを語り、聞いてもらうことでカタルシスを得られたり、考えが整理できるなど、ある程度のの癒し効果を体験します。しかし、そこに聴き手の専門家であるカウンセラーの存在と、カウンセラーがもたらす様々な関わり技法が加わることで、より深い自己洞察と、自己発見、自己回復のプロセスが促進されるのと同様です。

 

 

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                           著・酒井貴子 (2017.9.26)

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